今回のお話はいつもとは違うこんな季節にあれになってしまったあの子のお話です。
まだ鳥たちは換羽という羽根の生え換わりの季節の終わりごろ、当園のフクロウの中では古参になってきた1羽のメスのアフリカワシミミズクですが、いつもは止まり木の上にとまっているのに最近地面にいることが多いなぁと思って数日がたったある日、フクロウ類としてはこの時期にはかなり珍しくまさかの産卵!!をしていました。
通常、鳥類の産卵というのは暖かくなりヒナのエサとなる昆虫やそれらを食べる動物が活発に動き始める4月~5月ころに産卵・育雛(いくすう)を行うようになります。そしてフクロウ類はそれらよりは少し早い2~3月から産卵をする場合が多いのですが、いくら早くてもまだ気温が30度近い日もある10月の上旬に産卵をしたことはありませんでした。
なぜこの時期に産卵したのかは不明ですが、最初に1つだけ産卵をしたのですが、まだ卵殻が柔らかくしっかりした卵の状態ではありませんでした。
なのでその後は擬卵(ぎらん)という本物の卵の中に石こうを流して本物のように作った卵を、最初に産卵してあった場所に置くことでアフリカワシミミズクが本物と思いそのまま抱卵します。これは高齢の個体の産卵により体力消耗を避けたり、繁殖を制限している場合など様々な状況のときに用いられる手法なのですが、アフリカワシミミズクの場合は高齢でありまだ気温も高い時期のため、極度の体力消耗を避けるために行うことにしました。
ちなみにこれがアフリカワシミミズクの卵です。(写真右がアフリカワシミミズク、左が一般的な卵の形。ちなみにハヤブサの卵です!)
そして現在もアフリカワシミミズクは頑張って約30日間卵をあたため続けています。その卵、本物じゃないんですけど・・・と思いつつ、本能で一生懸命あたためているアフリカワシミミズクをぜひ見にきてください!(ちなみに本物の卵であっても、当園では♀のみのため無精卵となるのでヒナは生まれることはありませんのであしからず)
猛禽類担当