豊橋総合動植物公園を含む、国内の6つの動物園と認定NPO法人BCTJの7つの団体が協力して、
「ボルネオ保全プロジェクト」が一昨年の8月に始まりました。
これまでに、ボルネオ島の現状を知ってもらうための講演会やワークショップ、
利用金額の一部が寄付されるボルネオ保全WAONカードの発行などを行ってきましたが、
このたび現地にて「保全活動」を実施してきました。
当園からは3名が派遣され、ボルネオ島のキナバタンガン野生保護区にある、
BES(Borneo Elephant Sanctuary)にて、実際に井戸を掘ってきました。
BESでは、水道が安定供給されず、普段は貯留した雨水を利用しています。
この貯留水を、ゾウの飲み水の他、人の生活にも使用していますが、
気候変動の影響か、雨季の雨量が少なくなり、慢性的な水不足に悩まされています。
重機を用いた井戸掘りが立地や予算面から困難なことから、
伝統的な人力による井戸掘り「上総掘り」を行うことになりました。
この準備として、昨年の夏から秋にかけて、動物園の敷地内で実際に上総掘りの実習を行い、
11月にはワークショップとして来園された方にも井戸掘りを体験してもらいました。
そして今年の3月海外で井戸掘りの経験のある方の指導のもと、現地の方と一緒に、実行となりました。
工具など日本から運び込んだものも多数ありますが、
櫓やバネなどの上総掘りの主要部分に使用する竹は、現地のものを使いました。
実習の際に使用した豊橋の竹よりも、割ったり加工したりしやすく、問題なしでした。
地面は動物園の時と異なり、柔らかい粘土質で、
砂利も少なく、とても掘りやすく、この点も条件が良かったのですが、
じっとしていても汗が噴き出す、熱帯の厳しい日差しと湿度の下では、
少し作業するだけでもぐったりと疲れます。水分と塩分の補充を常に意識しながら、
交替で少しずつ進めました。
渡航前は、どこまで進むのか不安でしたが、
井戸の櫓は完成し、掘り進めるところまで無事に完了し、ひと安心です。
今回の渡航期間は短く、掘り進めて水を得るまでにはいたりませんでしたが、
私たちの帰国後は現地BESのスタッフが空いた時間に掘り進めてくれています。
無事に水が出ますように!
獣医師K