皆さん、こんにちは!
今回の飼育ブログは、『マレーグマのハッピイ』について、少し書きたいと思います!
私がマレーグマの担当になったのが、昨年の4月。
そして飼育員になったのも昨年の4月で、新人飼育員です。
それまでは、ハッピイのことは一来園者としてかわいいなあ♡と見ていました。
いざクマ舎の担当になってみたら、とても大変!!
見ての通り歴史のある獣舎なので、何かにつけて不便。
日々いろんな面で苦労の連続でした。
だからといって、このままの現状維持で満足していては動物達に酷です。
どうにかこの環境を変えてあげたい!
でも経験も知識もないので難しいことは考えずに、
まずは自分にできそうなことから始めていくことにしました。
まずは雑草たちにたっぷり水を与えてもりもり生やし
隠れる場所や日陰を作ってあげることと、
餌を入れるフィーダーを新しくすることから始めました。
(穴が大きいこと、穴の数が多くてあっという間に食べきっていました。)
フィーダーを作るために、新しいブイが欲しい!! けれどそれなりに値段がします。
なにか代用になるものがあればと、園内のほかの動物たちをみて‘‘あるもの“を見つけました。
ニホンザル舎でみつけた【ポリタンク】です。
穴はポリタンクの両サイドに1つずつ。
形も球体ではないので前のものよりかは難しいはず。
まずは地面において様子をみることに。
昨日までなかったポリタンクにソワソワしながらも、エサが入っているのをすぐに察知したハッピイ。
さあどんな動きをするのかな?
投げてみても、そんな簡単には出ません。
持ち上げてみても、傾けなければ出ません。
転がそうとしても、正方形ではないので簡単には転がりません。
しばらくすると寝転んで器用にポリタンク両手持ち、
少しずつ出てくる餌をモグモグ食べ始めました。
穴が小さいのでなかなか苦戦していましたが、学習能力の高い動物だなあと改めて思い知りました。
それからは展示場にたくさん草を生やしたり、落ち葉をいれたり、
フィーダーを改良したり、消防ホースをいれたりいろんなことをしていきました。
不器用ながら、他の飼育員の方に教えてもらい、なんとか完成。
締めが甘いため、のちのちハッピイの破壊行動により、
原型を無くしてしまう悲しきフィーダー。
冬のコンクリートは冷たいので、落ち葉でフカフカに\(^o^)/
そんな中、ある大学の学生さんが卒業論文のためにマレーグマで研究をすることになりました。
【エンリッチメントを交えた、マレーグマの行動調査】です。
私もぜひやらせていただきたいと思い、一緒に考えながら行いました。
まず3日間、普段のハッピイの動きを観察します。
採食、睡眠、行動、遊びなど。
どのくらいの時間をそれぞれに費やしているのかを調べます。
ハッピイが一番多かったのは、睡眠でした。
安心してリラックスできる環境なのかも知れないですが(それか暇すぎるのか、、、)
もっと良い行動と遊びそして採食時間が伸びることがベストです。
3日間の観察が終わり、次はエンリッチメントに取り組んでいきます。
まず小さめのブイやハチミツ入りの丸太をいれて行動がどう変わるかを見ていきます。
小さめのブイには(穴は1か所のみ)かなり格闘し、
ハチミツ入りの丸太を1日かけて破壊するまで遊び尽くしました。
桜の木を使ったので、やわらかくて美味しかったようです。
こんなに起きているハッピイを見ることが初めてだったので、
逆寝てなくて大丈夫なのかな?と心配に(笑)
1日でここまで破壊し、2日目以降もっと破壊しました。顔は可愛くてもクマですね。
穴を覗いて、エサがどこにあるのかを確認しています。賢いですね。
その他に、室内外に1つずつハンモックを取り付けました。
室内では冷たいアスファルトの上で寝るよりもハンモックの上で寝てくれたほうがいいですし、
何より行動範囲が広がります。
ですが、ちょっと怖がりなハッピイ。そんな簡単には乗ってはくれないはず。
だからこそ、少しでも良いものかな?と思ってもらえたらいいな。
と思いを込めて大好きなリンゴをたくさん挟みました。
最初はいい感じに前肢をかけるハッピイ、もしかすると乗るかも?
と期待したのもつかの間。
そうくるか(笑)
ほんと動物は面白いです。人間の想像をはるかに超えてきますね。
きっといつかハンモックの楽しさや面白さに、ハッピイのタイミングで気づいてくれることを願って、
それまでは温かく見守りたいと思います。
(ちなみにいまだに乗っていませんし、寝室のハンモックは破壊することに
楽しみを覚えてしまったようです(笑)ありゃま)
私の飼育員1年目、あっという間の1年でした。
いろんなことを動物たちから学びました。
ハッピイにとって、右も左も分からない新人飼育員が担当になったことは
幸せだったのかは分かりません。
「もっと知識があって、経験が豊富な飼育員がよかった!」
そう思っているかもしれません。
ですが、私はハッピイの担当になれてよかった。
ハッピイが教えてくれたことはこれからもずっと私のかけがえのない財産です。
ありがとう、ハッピイ!
ずーっとハッピイがハッピイで暮らせますように。
マレーグマ担当