こんにちは。動植物園長の高見です。
二ホンコウノトリという鳥をご存知でしょうか。
ここ、豊橋総合動植物公園 のんほいパーク でも飼育しています。
立ち上がった高さが1メートルほど、翼を広げると2メートルほどになる大型の鳥です。
目の縁が赤く吊り上がっているように見えるため、少し怖そうな顔に見えるのは、私だけでしょうか?
当園では、今は1羽しか飼育していませんが、実はある重要なプロジェクトの一端を担っています。
二ホンコウノトリは、かつては日本の各地で見られたようですが、50年ほど前に国内では絶滅してしまいました。そのため、中国やロシアの個体を国内の動物園や繁殖センターで増やし、2005年から少しずつ野生に戻しています。その甲斐あって、昨年、200羽を上回る二ホンコウノトリが日本の野外で暮らすようになりました。
二ホンコウノトリは、希少な野生動物を増やす取り組みの中でも代表的な成功例と言えますが、一度絶滅してしまった動物を復活させることは簡単なことではありません。今に至るまでには、多くの関係者による様々な努力がありました。動物園や繁殖センターで数を増やすだけでなく、野外で暮らしていけるように環境を整える必要もありました。そのため、野外の餌が増えるように農法を変更したり地形を改良したりといったことまで行われてきました。動物に携わる者だけでなく、農家の方をはじめ地域に暮らす皆さんの努力のおかげで、ここまで回復させることができたと言えます。
二ホンコウノトリの野生復帰プロジェクトは、動物園などの飼育施設や各地の自治体などがチームを組んで進めています。当園は、これまでもこのプロジェクトに参加してきましたが、今年度からはこのチームの事務局メンバーとして、より積極的に関わっていくこととなりました。
豊橋総合動植物公園 のんほいパーク は、保全が必要とされる様々な生物に対して、さらに積極的に取り組みを進めていきます。