こんにちは。
動物研究員です。
今回は寅年ということでメスのアムールトラ、マリンのトレーニングをご紹介します。
トラについては新年の園長ブログで紹介されていますのでこちらも見てみてください。
園長ブログ(13) 寅年
さて、皆さんはトレーニングと聞くとどんなイメージをお持ちですか?
…日輪くぐり?アメとムチ??
何だか、人前で披露する「芸」を仕込むしつけの様なイメージがあるかもしれません。
安心してください、ただでさえ高齢なマリンにムチを打つようなことはしませんよ!
私たちが行っているトレーニングは、動物園で暮らす動物たちが心身ともに健康に暮らせるようにするために必要なことを、動物たちが自主的に協力してもらいながら行う「ハズバンダリートレーニング」です。
ハズバンダリーには「飼育技術」などと訳され、健康管理だけではなく部屋の移動や実験への協力など幅広いトレーニングが対象となります。
↑棒の先端に鼻先をタッチする練習。こうすることでスムーズな移動や細かな観察ができるようになります。
ハズバンダリートレーニングでは、叱ったり叩いたり、エサを抜きにしたりすることは一切ありません。
こちらがしてほしいことをしてくれたら、動物たちが喜ぶものをあげる。
これを繰り返しながら少しずつこちらがしてほしいことを教えていきます。
とにかく動物たちがその行動をしたくなるような環境を整えて、ひたすら褒めて伸ばすトレーニングです。
一見うまくいかなさそうにも感じますが、むしろ叱ったりした方が学習しにくく攻撃的になったり、ストレスを与えてしまったりすることが科学的にも証明されています。
具体的にどんなことを行うかと言うと、体重測定や採血、口の中のチェック、点眼、レントゲン撮影、エコー検査、爪切りなどなど、トレーニング次第で様々なことが可能になります。
アムールトラのマリンは現在、採血のトレーニングを行っています。
↑台の上に乗る練習。台に乗った状態で尻尾から採血を行う予定です。
マリンは高齢なので血液検査によって少しでも早く異常に気が付けるようにしたいと考えています。
また、貴重なアムールトラの血液データは様々な研究にも活用できるかもしれません。
動物園は楽しむと同時に研究や教育、野生で暮らす動物たちを守る活動も行っています。
のんほいパークではアムールトラ以外にもアジアゾウやオランウータンなど様々な動物でこのようなハズバンダリートレーニングを取り入れ、動物たちの健康管理や飼育しているからこそ解明できる謎に挑戦しています。
もし園内で動物たちのトレーニングを見かけたら、それはきっとハズバンダリートレーニング。
そっと見学して、トレーニングが終わったらぜひ質問してみてくださいね。
↑ピンセットからお肉を受け取るアムールトラのマリン。これができるようになるまで1カ月以上かかりました。道のりは長くても地道に続けていきます。優しく見守ってね!