こんにちは。
昨年4月から担当が変わり、郷土エリア、オーストラリア園エリア、カワウソ、トラ、サルなどなど。比較的多い動物たちを担当しています。
今回は郷土エリアで暮らしているヤクシカたちについてお話したいと思います。
お時間ある時に是非ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
当園ではヤクシカは2頭で、オスのユウとメスのヒメが暮らしています。
オスのユウは人間に対して興味を示す事があり、名前を呼ぶと時々寄って来てくれます。去年と比べ体も大きく、角も立派になりました。
最近は発情から気が立っている事も。春頃になると立派な角は落ち、今の様子とはガラッと変わり大人しくなります。シカのオスは年に一度落角し、そこから角が成長し袋角と呼ばれるものが剥がれ、写真↓のような状態になり、また春になると落角します。
メスのヒメはユウと比べ臆病な性格。私が担当し始めた2年前は、担当者がヒメの展示場に入るだけでパニックを起こし走り回ってしまう事もありました。
最近では少しずつ慣れてきてくれたのか、近くでゴハンを食べてくれたり、首元を触らせてくれたりと距離が縮まったように思います。
そんなヤクシカのユウとヒメ。
健康管理のために『採血トレーニング』に協力してもらっています!
ユウとヒメには月に1回の採血を目指して、日々のトレーニングと実際に採血にも協力してもらっています。
野生動物の場合、人間の健康診断のように、採血の為に手を出してくださいと言って、『どうぞ!』とすんなり採血部位を出してくれることはまずないですし、何より動物種によっては飼育者側の危険も考えられます。その為、彼らの負担が少なく、尚且つ我々飼育員も安全に健康チェックができる方法で行っています。
こちらは実際にユウの採血トレーニングを行っている様子です。
柵越しにリンゴやイモを与えている間に頸動脈から採血をしています。
採血トレーニングは少しずつ慣れてもらう為に
まずは首を触る→アルコールを吹きかける→先端を潰した針で刺激する→実際に採血という順序で行いました。
ユウは比較的早く採血に成功する事ができましたが、ヒメは少し臆病な性格であるため、段階を下げてまずは2人以上いる環境から慣れてもらうことにしました。
2人以上いても離れずにとどまっている時間が増えた頃に、柵越しに首の部分に触り少しずつ刺激を与えていきました。
段階を踏んで潰した針で刺激しても離れる事はなかった為採血に挑みましたが、実際の針をあてると離れてしまい、また段階を下げてトレーニングを再開することにしました。
2021年2月から開始しヒメは1回、ユウは13回程成功しています。
しかし、ここ数か月採血に成功していたユウも、最近は発情からか途中で集中が切れてしまい採血を中断することも。
トレーニングの頻度や回数を再検討しながらまた成功に向けて頑張っていけたらと思います!
トレーニングの様子は今後SNS等でお知らせできたらと思っています♪
最後に、当園にご来園の際にぜひ気にして観察して頂きたい場所があるので、そのお話を少しだけして終わりにしたいと思います!
郷土エリアのヤクシカと少し離れたニホンカモシカの展示場内。比較すると一緒に見えて違う所があります!
それは、地面です。
ヤクシカは少しでも下草が生えるとすぐ食べてしまう為、地面は丸見えなんです。
カモシカたちも下草は食べますが、ヤクシカ程ではありません。
これは、実際に野生下でも見られることで、シカの食害問題は深刻化しています。
増え過ぎた野生のシカが下草や木の皮をどんどん食べていく事で、木々が枯れてしまい、被害が山全体に影響を及ぼし土砂崩れや人的被害も及ぼす大問題になっています。
このような地域の深刻な獣害問題を背景とした当園での取り組み(屠体給餌)も合わせて読んでみてください!
ライオンへの屠体給餌 – うちのバックヤードのチラ見せ (nonhoi.jp)
今回のブログで飼育下のヤクシカだけではなく、日本に生息する
野生下のシカたちについても知っていただく機会になれば嬉しいです。
…はい。とーーっても長くなってしまいましたヤクシカのお話。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
〇当園のヤクシカの紹介
〇ヤクシカの採血トレーニング
〇ヤクシカとカモシカの展示場の比較(獣害問題と屠体給餌)
の3本でおはなしを進めてきました。
最近のヤクシカ達は展示場手前で寝ていることが多く、かなり近い距離で観察できます。
是非会いに来てくださいね♪
ヤクシカ担当:大矢