トレーニングの成果

飼育員

こんにちは マレーグマ、ヒグマ担当です。

 

今回はクマたちのハズバンダリートレーニングの近況をお話していこうかと思います。

マレーグマ、ヒグマ担当になって2年。放飼場の改修やエンリッチメント、イベント開催など、様々なものに取り組んできました。中でも今回お話するハズバンダリートレーニングは自身にとって非常に難しく、楽しく、やりがいのあるものでした。

 

トレーニング経験のない個体(ハッピイ、アマナ)と、担当者の私が一からトレーニングの基礎を作れることは嬉しい一方で、大きな不安もありました。トレーニングの経験豊富な先輩方にアドバイスを頂いたり、仲の良い同僚とお互いの近況を話し合い、気持ちを高め合ったり、毎日クマたちと向き合いながらなんとか基礎を固め、現在に至ります。

そんなこんなでトレーニングを初めて1年ほど経過したので、今回は現在のクマたちの状況&これからの目標をお話します!

 

まずはヒグマのアマナから。

アマナは前肢の爪切りトレーニングをちょうど1年前からスタートしました。最初は見慣れないターゲット棒やクリッカー音に「???」といった表情を浮かべていました。

ですが2週間もたたないうちにターゲット棒に触ると餌が貰えるということを認識してくれて、そこからはとてもスムーズに進んでいきました。

左前肢の爪切りは約2か月で成功し、ひとまずの目標はクリアしました。

 

 

前肢の爪切りを終え、次に挑戦したのは後肢の爪切りです。1年前とは違い、トレーニングの基礎も頭に入り、関係性も築けたはず。アマナなら大丈夫!と前向きな気持ちでスタートをきることができました。

左後肢の爪切りも、わずか2か月あまりで成功し、アマナの落ち着きと穏やかな性格、そして飲み込みの速さには驚くばかりでした。

 

そして現在、次の目標は右後肢の爪切りです。アマナは利き手があるのか、前肢も後肢も左からスタートしています。右前肢も少し時間はかかりましたが、無事に終えることができたので、今後もアマナのペースを見ながら取り組んでいけたらと考えています。

 

つづいてハッピイ。

柵に体を寄せる&採血のトレーニングを並行して行っています。

ハッピイはとても慎重な性格で、見慣れない人や物が少し苦手な一面があるので、集中力を保てるかどうかが一番の不安要素でした。

 

トレーニングを始めてみると、案の定慣れないことに驚き走り回るハッピイ。まずは担当者が近くに寄ることとトレーニング道具への馴致から始めました。

 

強化子について、初めはアマナと同じく甘い果物使用していましたが、いまいち集中していないような、餌をもらっても反応が薄いような様子が続いていました。

そこで試しにハチミツを溶かした水を水差しにいれて与えてみると、今までにない好反応を示してくれました。これだ!と思い、そこからはハチミツ水を使ってトレーニングを進めていくことになりました。

 

毎日練習を重ね、ハッピイも落ち着き集中してトレーニングに参加してくれるようになりました。柵に体を寄せるのは朝飯前!といった表情で定位置にスタンバイしてくれる姿がなんとも可愛らしいです^^

 

採血は前肢の指の間から血液を採りますが、マレーグマは血管が細く見つけにくいため、長時間前肢を出しておいてもらう必要があります。ハッピイのハチミツへの執着心をうまく利用し、トレーニング内容によって濃度を調整しながら進めています。

ハチミツ水でハッピイの気をそらしながら竹串、先端をつぶした針などで前肢の甲をツンツン。

 

せっかちな担当者は歯がゆい日々を送っています・・・!でもハッピイのペースに合わせてこつこつ継続することが大事!採血の本番にそなえ、毎日練習に励んでいます。

 

 

2頭とも、楽しく集中してトレーニングに参加してくれているように感じます。現在もできるだけ毎日練習を重ね、いつ、誰が担当してもトレーニングができるよう特訓中です!

 

毎日頑張ってくれているアマナ、ハッピイを温かく見守っていただけましたら幸いです。

 

マレーグマ、ヒグマ担当