1匹だけ違う

飼育員

当園では、両生類に関しては日本在来の種類を展示しています(一部、外来種を知っていただく観点からウシガエルも展示しています)。

これは、身近にいる生物を知ってもらい、その生物が置かれている状況、私たちが出来ることを考えてもらうキッカケになればという思いでの展示になっています。

 

この展示がスタートするにあたり、豊橋市内の両生類の生息地調査も毎年行っています。

 

これに合わせて、水生のカメも日本在来の種類を展示しています。

 

 

4種いるうちの、ニホンスッポン、クサガメ、イシガメは日本のカメです。

ですが、残り1種のミナミイシガメは日本在来ではありません。

そして、この子はウシガエルのように外来種を知っていただくという意味で展示している訳でもありません。

 

 

 

では、何故いるのでしょう?

 

実は、海外から密輸され、検疫で引っかかり当園に持ち込まれた個体です。

現ダーナの展示場あたりにあった、旧爬虫類舎(覚えている方いますか?)では、スペースが無くバックヤードで飼われていました。

その当時は、とても臆病で、人がいると甲羅に引っ込み全く動かなかったので、一度も顔を見たことがありませんでした。

自分が入社した時からなので、少なくとも10年程はそんな状況だったと思います。

 

そして、現爬虫類舎で日本在来の種を展示することになり、カメの展示スペースを確保するのと同時にミナミイシガメも在来の子たちに混じってお目見えすることになりました。

すると、今までの臆病具合が嘘のように活発に動き回り、10年以上経って初めて顔を見ることができました。

在来種の展示がメインのテーマですが、ミナミイシガメにとっても良い結果になったようで嬉しく思っています。

 

テーマと違うので、キャプションに書いていないのですが、密輸された動物たちはこのミナミイシガメのように良い結果にならない子が多くいます。

このブログを読んでいただいて、そういった事を考えるキッカケになればと思います。

 

 

最後、真面目になってしまいましたが、とてもひょうきんな顔をしているミナミイシガメを見に来てあげてください!