新記録!?

飼育員

新記録!?気になりますか?

何が新記録かというと……まずはこちらをご覧ください!

 

 

この写真にヒントがあります。体色の異なるフラミンゴがいるのが、わかりますか?

この体色の異なるフラミンゴたちは今年に誕生した雛たちになります。繁殖は年に一度で、雄と雌はペアを組み、一度に1卵を産卵します。しかし、当園の雌の個体数が少なかったり、有精卵の確率が少なかったり、また他の動物に食べられてしまう食害にあったりと様々な問題があります。過去に何度か繁殖には成功していますが、1年に2羽増えたのは1回のみ、あとは増えても1羽というのが、これまでの実績でした。

 

今年はというと有精卵が3卵も採れました。無事に卵から3羽が孵化し、現在順調に育っています。当園ではコフラミンゴの繁殖で1年に3羽が孵化したことは初めての記録になります!!こちらが今年生まれの雛たちです。1、2羽目の雛はすでに大人のコフラミンゴと同じくらいの大きさに成長しており、綿羽が生え換わって、成鳥の羽がだいぶ生えてきました。

 

 

1、2羽目の雛は7月4日、19日に孵化し、3羽目の雛は8月25日に孵化しました。親が産卵すると偽物の卵(擬卵)と交換し、孵卵器へ入れます。これは自然で抱卵させていると他の個体に突かれて卵が割れてしまったり、巣から落下して水没し、卵が駄目になってしまったりするのを避けるために行っています。そして、孵卵器内で雛が殻を破り(嘴打ち)始めたら、親の抱卵している擬卵と交換し、元に戻してあげます。こちらが嘴打ちの時の様子です。嘴打ち開始から1日程かけて孵化に至ります。

 

 

また、生後2週間程度までは食害を防ぐため、夜間のみ親には毛糸状のものを丸めたダミーを抱かせて雛を取り上げていました。毎朝、雛を展示場の親に戻しに連れて行くと親は扉の前まで迎えに来るほど雛への執着は強いものでした。

 

3羽目の雛は親が擬卵を途中で落とされてしまい、嘴打ち直後の卵も抱卵しなくなってしまったために孵卵器内で孵化させました。孵化直後は嘴打ちのために嘴の先に卵歯と呼ばれる突起があります。次の写真からも確認することができます。

 

 

通常、雛は親からフラミンゴミルクと呼ばれる素嚢(そのう)から分泌される赤色の液体をもらって育ちます。この雛に関しては親に育ててもらうことができず、フラミンゴミルクの代替でネコミルクを与えて育てており、現在も人工育雛中です。初期の育雛箱は人工芝を敷いた簡易的なもので上部から保温球を吊るしてあります。そして、徐々に歩き始めた時期に水入れを設置し、早めの段階で水に慣らしていきます。

 

 

ミルクは人工育雛であれば直ぐにシリンジから飲むようになりますが、人工飼料であるペレットへのスムーズな移行が難しく、問題になります。ミルクにペースト状にしたペレットを混ぜたり、水入れに砕いたペレットを浮かべたり、ミルクを減らしたりして自力採食を促します。最近ではペレットも自ら食べるようになり、展示場の一角に設置したケージ内で慣らしたり、短時間ですが、他の成鳥や雛たちと一緒に過ごしたりしています。

 

 

まだ3羽目の雛は、体が小さく展示場や他個体との慣らしが必要なため、なかなか見られる機会が少ないかと思います。一人前に成長し、群れ入りできる日まで温かい目で見守っていただけると幸いです。2羽の雛は展示場にて見られますので、是非成長の過程を観察してみてください。