最近は寒さが身にしみるようになってきました。動物園では様々な鳥を見ることができますが、ほかにも街、公園、道端、庭などでも見ることができます。その時、よく観察すると夏よりふっくらとした姿でまん丸になっているのが分かると思います。これは冬の寒さを凌ぐために羽に空気をたくさん取り込むことで断熱しているからです。
今回はそんな鳥たちの羽に関するお話、『衣替え(換羽)』についてです!
人間は気温によって夏は半袖、冬は長袖というように服装を変えることができます。似たように鳥にも衣替えがあり、人は簡単に衣替えができますが、他の動物たちはそうはいきません。特に鳥たちの衣替えは命がけになります。
鳥の衣替えは『換羽』と言い、古い羽が抜けて新しい羽に生え変わることを言います。換羽する理由は、生活の中で傷んだ羽をそのままにしていたら、うまく飛べなくて天敵に襲われたり、越冬先に渡りきれなかったり、厳しい寒さを乗り越えられなかったり、パートナーと結ばれなかったりと様々な理由があります。換羽は生きていく上では欠かせないものになります。
換羽の時期や回数は鳥の種類、年齢、性別によって異なり、1年に1回以上起こります。
また、期間は鳥の種類によって異なりますが、だいたい1ヶ月間ほど掛かります。中には何ヶ月もかかる種もいます。羽が生え変わっている間、鳥たちは上手く飛ぶことができず、換羽には多くのエネルギーを消費します。そのためか、他の鳥と争うことが少なく、茂みなど見つかりにくい場所でひっそりと生活していることが多いです。そのような状況が1ヶ月も続くとなると餌を十分に得られなかったり天敵に襲われたとき逃げ切れなかったりとまさに命がけです。
ここからは、動物園で見ることができる鳥たちはどのような換羽をするのか、少しご紹介いたします。
まずは、「インドクジャク」です。色鮮やかで飾り羽が特徴的なこの鳥は、ご存じの方も多いと思います。綺麗な飾り羽を扇状に広げている姿が印象的ですが、この飾り羽は一年中生えているのではなく、繁殖期にメスへアピールするために生えています。飾り羽を広げているのは繁殖期の3月~7月の春先から夏頃の期間限定になります。そのため、繁殖期以外はメスへアピールするための準備期間で立派な飾り羽を広げている姿は見ることができません。その期間に「羽広げて~」とお客様のお声をたくさんいただきますが、見られないこと、すみませんがご了承ください!その代わり、羽が日に日に伸びていく姿を観察することができるのはとても面白いと思います。飾り羽がある種は、換羽前と換羽後で比べてみるとより楽しめるかと思います。
換羽中↓
換羽後↓
次は「オオコノハズク」です。
オオコノハズクはフクロウの中では小さいサイズで、人の手のひらほどになります。
フクロウなどの猛禽類は飛ぶことができないと狩りができず餌を得られないため、換羽する時は一度に全部の羽が抜けて生え変わるのではなく、少しずつ時間をかけて変わります。換羽する鳥たちの中ではあまり目立ちにくいため、換羽しているという変化に見た目では気づきにくいかもしれません。
オオコノハズクはフクロウの中では羽角(耳のように見える羽)があるため、顔周りの換羽時は別人の印象を受けます!
換羽中↓
換羽後↓
最後に「ペンギン」です。
ペンギンは水中で狩りをする生き物のため、換羽中は泳ぐことができなくなります。泳げなくなるということは、餌の魚などを取りにいけないということで絶食します。絶食なんて私には耐えられません…。ペンギンの換羽については、ペンギン担当者による詳細なブログがこちらに載っていますので、ぜひご覧ください! https://www.nonhoi.jp/blog/p9856/
換羽中↓
今回、鳥たちの換羽について、動物園で見られる鳥も含めてご紹介いたしました!
少しでも皆様に へぇ~ や なるほど 、ちょっと行ってみたいな など、生き物のこと、動物園のこと、ご興味いただけると幸いです!
まだまだ紹介していない鳥もたくさんいますので、ぜひ当園に探しにお越しください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
野鳥園など担当