みなさん こんにちは、豊橋総合動植物公園 公園長の瀧川です。
昨年度までは、動植物公園の園長でしたが、今年度から、自然史博物館も守備範囲となり、公園長という役職をいただきました。
よろしくお願いいたします。
また、今回から、飼育ブログにお邪魔する形で、公園長ブログを始めます。
「のんほいパーク」の様々な話題をのんびりと、お届けしようと思っていますので、決してかしこまらず、ゆるーく流し読みいただければ幸いです。
さて、今年もメタセコイアの木々に若葉の季節がやってきました。
中央門から東門にかけて、園の中心を貫くように植えられたメタセコイア、 秋,葉をすべて落とした時には、幹と枝だけのがらんとした空間が広がっていましたが、
いつの間にか、その空間がうす緑に染まりはじめ、春が、ゆっくりゆっくり、公園全体を包みはじめています。
名前は忘れてしまいましたが、北欧のある街では、市庁舎の前にある大きな落葉樹が、その街で一番早く春を告げる樹とされており、
毎年、その樹の芽吹きが確認されると、その街の市長さんが高らかに春の訪れを宣言するのだそうです。
私も、ぜひ、そんな春の訪れを宣言したいものだと思い、「のんほいパーク」の中にも、いち早く春を告げる樹があるのではないかと、毎年、気を付けてみています。
しかし、暖かい雨が降った後など、いっせいに芽吹いた木々を前にすると、そんなことなど、すっかり忘れてしまって、
やわらかな朝の風や、ゆうぐれの花桃色の空や、そんな春の景色と同じように、茫然として、ただ見つめるだけになってしまいます。
春は、始まりの季節ですが、ときおり、まだまだ、肌寒く、少し寂しく感じることもありますね。
みなさんはいかがでしょうか。
「春の風景」
ある春の朝
青く透きとおった大気の中で
若葉にゆれる
小さな水滴(朝露)のかたまりが
陽光に照らされ
きらきらと笑った
よく見ると
そのきらめき中に
小さな春の風景が
ゆっくりと揺れていた
黒い土のにおい
かろやかにうねる、みどりいろの風
木々の梢に、小鳥たちは春を歌い
どこかで、うすむらさきの花が、うつむくように揺れていた
ああ
はるよ、この季節よ
きみたちは、なにもかもが、とうめいで
すべてが始まろうとする時を生きている
そして、それは
緑と風と光でできた、あのなつかしい風景だ
この小さな水滴の中に
私の大切な思い出はめぐり、めぐり
やがて、風景が、にじむようにとけこんでいくこの刹那に
ほんの少しの憧れと、ほんの少しの悲しみをただよわせて
はるよ
きみは
ゆっくりと
私の前から、立ち去ってゆくのか