みなさん、こんにちは、公園長の瀧川です。すでに1ケ月近く経ってしまいましたが、6月30日(日)ボルネオツアー4日目です。この日は、このツアーのメインイベント、ボルネオゾウのレスキューセンター視察と井戸掘りです。特に女将の森井さんは井戸掘り命で、なにやら、水の分析キットまで持参しています。ロッジを4輪駆動車4台で、出発します。
この付近はロッジや渡し場などがある一方、BTCJの緑の回廊プロジェクトで購入した土地が点在しているエリアです。購入目標は2ha 熱帯雨林の保護区や保護林を結び、自由に移動できるエリアを確保する、壮大なプロジェクトです。レスキューセンターに行く前に、近隣のプランテーションに見学に寄ります。
やがて、船着き場につき、大きな渡し船で対岸へ渡ります。そして、かすかな道らしきものを4WDで進みます。どこに行くのか、何を目指しているのか。よくわからない中で、洗濯機のように揺られること30分。やがて一面に開けた場所に出ました。、遠くにアブラヤシの連続した林が見えます。
ここは、アブラヤシの大規模プランテーションで、この広大な敷地の中で、多くの家族が働き、20年ごとに伐採、植林が繰り返されている場所です。バイクで通りかかった兄ちゃんに、ゾウの情報を聞きます。その情報をたよりに、アブラヤシの林の奥を目指します。奥へ奥へ進むと、川が現れました。川沿いに電柵が続いています。そして、やがて、ゾウが踏み荒らした草むらが現れました。ゾウは電柵を避けるように川に下りて、再び上陸をしたようです。あれ、ここって、もしかして、昨日の川辺?、唖然としました。昨日はもっと豊かな空間に見えたのに、川とアブラヤシのこんなに狭い空間を、そして、電柵を避けながら、彼らはこんなにも制約がある中で暮らしているのです、昨日見た、多くの幼い命が、奇跡的にも思えてきます。
やがて、大規模プランテーションを後にして、レスキューセンターに向かいます。この施設は、坂東園長がBTCJの仕事として、その設計から、建設まで牽引した施設で、現在、3頭のゾウが保護されています。大人の2頭は、近くの畑へ散歩に行っているということでしたが、小ゾウが1頭小さな檻の中から鼻を伸ばしています。
しかし、施設をゆっくり見ている暇はありません。急いで簡易型井戸掘りの準備をします。塩ビ管のキット、大型の移植ごて、スコップなどを抱え、女将の森井さん、安藤昆虫担当、木谷獣医、お江戸のゾウ使い、そして私の5名が、試掘場所を目指し、足元も見えない藪の斜面を下っていきます。一瞬、山ヒルのことが頭に浮かび、膝が少し震えましたが、もう突入するしかありません。
過去に掘った穴の横で、直径50cmぐらいの草を払い、スコップや移植ごてで深さ50cmぐらいに掘り下げます。そして、塩ビ管の登場、塩ビ管を上下すると、土だめに土砂がたまり、どんどん管が地下に潜っていきます。穴掘り担当は、もう汗だくで、泥水と格闘します。どのくらいの時間、掘ったでしょうか。用意した管が短かったので、水脈にあたることはできませんでしたが、この方法で何とかなると確信でき、女将の森井さんの満足げな顔が見れてよかったです。
その日の宿は、エコキャンプという、電気も水道もなんにもない、まさに自然の懐にもぐりこんだような施設、懐中電灯の明かり、雨水で体を洗い、蚊帳の中で眠ります。動物の足音や遠い咆哮に優しく包まれた夜でした。
ボルネオツアーも残りわずかとなり、7月1日(月)エコキャンプから、ネピアグラスの草狩場を見学して(ここから、レスキューセンターに餌のネピアグラスが届けられ、その費用もBTCJが支援しています。)再び空路、都会のコタキナバルに戻ります。翌日7月2日(火)は、ロカウィの動物園で保護されているゾウを見学し、やがて、午後から、みなさん三々五々ボルネオを離れていきました。
いろんな鳥を丁寧に教えてくれた佐藤園長、そしてそのお世話を忠実にこなしていた永田さん、みんなに不思議ちゃんと呼ばれていた絵描きの池田さん、いつも紳士的な笑みを絶やさなかった平川の福森さん、意外にも井戸掘り知識が豊富だった安藤君、私が音を上げる前にいつも音を上げてくれた石田さん、そして、坂東さん、森井さん、お江戸のゾウ使いさん、そして、のんほいパークのみんな、本当に有意義なツアーでした。
この経験が、次につながると信じています。ありがとうございました。