開園前、日中分のエサを設置するため、シマウマの放飼場に向かいます。
広い放飼場で深呼吸をすると、 “気分爽快!”
1日の始まりです。
と、いうわけで…。
今日は、グラントシマウマの話や“ソウ”と“カイ”の成長を振り返ります! (ちょっとだけ私の話もします)
私がシマウマ担当になったのが、昨年4月。そして、飼育員になったのも昨年の4月です。つまりはド新人のド素人でした。
飼育員の仕事は、全部が初めてで、毎日が目まぐるしく過ぎて行きました(;´∀`)
この時飼育していたシマウマは全部で8頭。(シンジ♂・サヤ・カエデ・アヤ・アーサ・ハマ・シズク・ミリア)
最初は全く見分けがつかず、収容に苦戦する日々…。
しかし、しま模様は1頭1頭違うのです。両肩、おでこ、おしり。それぞれの特徴で見分けます。
右:サヤ 左:カエデ
やっと個体識別ができるようになったころ、シマウマの前任の方や、獣医さんに、ハマのお腹が大きくなっているんじゃないかと言われ、妊娠の可能性があることを知りました。
シンジとハマの交尾を確認したのが2019/5/19。シマウマの妊娠期間は約370日なので、交尾からおよそ1年後を目安に出産を向かえるようです。
無事、生まれてきてくれ~~!と願った矢先。
【5月22日】
この日、私は休みをいただいており、家でまったり過ごしていました。
すると、スマホの通知音が鳴り、メッセージを開くと。「シズクが出産した」との連絡が(゚д゚)!
え?ハマじゃなくて?シズク!?
喜びと驚きを胸に、全速力で自転車を漕ぎ(ヘルメット着用)シマウマ舎へと向かったのでした。
シズクはハマの仔で初産でした。育児放棄の心配もありましたが、
私が到着したころには、仔は立ち上がっており、初乳も確認できたようで、一安心でした。
オスです。
数日後のようす
シズクという名前の涼しいイメージから、ソウ(爽)と名付けました!
今までのシズクはハマにべったりでしたが、出産後は仔に寄り添い、すっかり母親の顔に…(´;ω;`)母親とは偉大ですね…。
6月1日、他のメス6頭+シズク・ソウの群れ入りを試みました。
シマウマは群れを作る動物であり、いわゆるカーストが生まれます。ソウが誕生したことで今までの順位が変わり、シズクは他のメスから攻撃されることが多くなりました。
周囲の攻撃に翻弄されるソウと、守るべき仔に近づくことのできないシズク。2頭の群れ入りは容易ではありませんでした。
ほどなくして、群れが少し落ち着いてきたころ。
【6月5日】
出勤してハマに「おはよ~」と声をかけると…。
生まれてる!!!!!オスだ!!!!!爽快コンビだ!!!!!
彼がオスだということが分かった瞬間、名前が決まりました。カイ(快)です。
発見した時には立ち上がっており、しばらくして初乳も確認できました。
ハマは2回目の出産ということもあり、安心して見守ることができました。
数日後のようす
そして始まる群れ入り。
もともとハマは順位が高かったこともあり、他のメスが近づいてこようもんなら、可憐なキックをお見舞いしていました。ハマは強いです。
6月中旬には、全頭落ち着いた9頭の群れ展示を行うことができました(*‘∀‘)
しかし、喜びも束の間、不慮の事故により、シズクが亡くなってしまいました。突然パニックを起こしたことで、ゲートに激突してしまったのです。
シマウマは、とても警戒心の強い動物です。そのため、イレギュラーなことが起こると、落ち着かなくなることがあります。
生まれて2ヶ月も経たないうちに、母親を亡くしたソウ。
まだまだ授乳期間中であるため、その後の母乳はどうするのか、シズクがいない中で群れに入ることはできるのか。など、さまざまな問題点が発生しました。
ヤギ用の粉ミルクを与えたり、ウシ用の代用乳ペレットを与えてみたり。
食べているのか、食べていないのか、給水はしているか、排尿はできているのか、確認するためにスマホを寝室の柵に立てかけて、動画を撮ったりしました。
幸いにも、ウシ用の代用乳ペレットが口に合ったようで、食べてくれ、給水、排尿もばっちり動画に収めることができ、とても安心しました。
問題はここからです。
ソウ1頭での群れ入りです。
最初から、7頭の中にソウをいれては、激しい闘争が起こってしまう可能性があるため、放飼する頭数を制限しながら、少しずつ群れを大きくすることにしました。毎週月曜の休園日に行います。
個体の性格や群れの順位などを考え、まずは、ミリアと2頭出し。
その次の週は、ハマとカイを追加。そして、サヤとカエデ。最後にアヤとアーサを追加するという流れです。
このように書くと簡単に思えますが、闘争が起こった場合のことを考えると、とてつもない緊張感と不安感に襲われました。
最善を尽くせるよう、闘争が起きた際はどのように対処するのかなどを、アフリカ園の先輩方にいただき、日中の監視などもサポートをしてもらいました。
その結果、無事に、現在の8頭の群れ展示をおこなうことができました。
今では、全頭いい距離感で、のんびりと過ごしてくれています。
ソウとカイがじゃれ合う姿もみられますよ(*‘∀‘)
少々長くなりましたが、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
私自身、このブログを書くことで、この1年を振り返ることができました。
これからも、シマウマたちがのびのびと、安心して過ごせる毎日を作る。そんな手助けをしたいと思います。
シマウマ担当