こんにちは。動植物園長の高見です。
アジアゾウのオス用の放飼場(運動場)が3月に完成しました。
これにより放飼場の面積が大幅に広がったため、オスのダーナの運動量が増えて、ますます健康に長生きしてくれるもの・・と期待しているのですが、実はなかなか新たな放飼場に足を踏み入れてくれません。
野生動物は、新しい環境に対しては警戒し、慎重になるものです。ましてや、ダーナは高齢になってきており、若者ほど好奇心旺盛というわけではありませんし、これまで何十年間も今までの放飼場で暮してきたため、その環境が安心できると考えているのかもしれません。
飼育担当者が毎日おいしい餌を置いてダーナを呼ぶことで、鼻先、頭、前半身と、少しずつ新たな放飼場に入れるようになってきましたが、どうしても全身を入れることができません。綱で引っ張って無理矢理連れていくこともできず、かと言ってダーナのためにも新たな放飼場を使わないわけにはいきません。
鼻と後ろ足を精一杯伸ばして、新たな放飼場に置かれた餌を取ろうとするダーナ。 伸ばした鼻先で餌をつかんで、後ずさりで戻っていきます。
メスの方が好奇心旺盛なため、先にメスに新たな放飼場に入ってもらい、それをダーナに見せつけることで、危ない場所ではないことを学んでもらうという作戦を考えています。
これまでの放飼場が、狭くても落ち着くのでしょう。
ダーナが新たな放飼場で皆さんにお目見えするまでに、少し時間がかかってしまうかもしれませんが、温かく見守っていただけるとありがたく思います。
動物は、特に野生動物は、人の計算通りには動いてくれません。それが良いところでもあります。