園長ブログ(5) 家族を迎える準備と覚悟

旧飼育ブログ

こんにちは。動植物園長の高見です。

 

この春、バードエリアがリニューアルオープンしました。中でも、世界各地のフクロウが集う「ふくろうの森」が注目を浴びていますが、キジやインコの仲間が暮らす施設も新しくなっています。その一角のゾウ舎に近いところに、ルリコンゴウインコが暮らしています。

 

 

南米のインコで、頭から尾の先まで80センチほど、翼を広げると小学2~3年生の身長ぐらいになる大型の鳥です。見た目もカラフルで、青と黄色の羽毛が人目を惹き付けます。迫力があり美しい鳥なので、昔からペットとしても飼われています。インコの仲間は、野生での数が少なく取り引きが厳しく規制されている種が多いのですが、ルリコンゴウインコはまだ飼いやすい種です。

 

 

「飼いやすい」と書きましたが、ペットとして入手することが許されているということで、誰でも飼育できるというわけではありません。いくつかの注意点があります。

 

まずは、その大きさです。一般に市販されているような鳥かごには入りません。翼を広げても当たらない十分なスペースが必要ですので、一部屋与えるぐらいの覚悟は必要です。

 

 

 

次に、その破壊力です。硬い木の実でも砕く強力な嘴(くちばし)を持っていて、目についたものは片っ端から齧り、粉々にしていきます。齧ることは、彼らの生活の一部なのです。一部屋を与えることはできないから、家の中で放し飼いにすればいいか・・などと考えたら、恐ろしいことになります。柱、扉、テーブル、布団などなど、喜んで破壊していくことでしょう。

 

 

 

最も気をつける必要があるのは、その声です。動物園で体感された方も多いかもしれませんが、耳をつんざく大きな鳴き声を発します。しかも、その声は決して美しいと形容できるものではありません。隣の家まで数分かかるといった優雅な住まいならまだしも、マンションやアパートなら数日で退去しなければならなくなるでしょう。

 

 

 

十分に飼える環境が用意できる場合、最後にもう一つ考えなければならないことがあります。それは、寿命の長さです。ルリコンゴウインコの寿命は60年以上です。子育てが終わったからインコでも飼い始めよう・・などと考えたなら、飼い主が旅立った後も長年生き続けることになります。最期までしっかり世話をするためには、2世代、3世代で面倒を見る必要があるかもしれません。

 

 

 

飼うことが難しい鳥であることは、ご理解いただけたのではないかと思います。

絶対に飼うなとは言いませんが、あまりお勧めはできません。

 

ルリコンゴウインコを見るたびに、こんな種をペットとして飼うことができる人がいるんだ・・と思います。どんな人が、どんなところで飼っているのだろう・・と。

そこで、今回は飼育が難しいということをブログに書いてみました。

 

 

ルリコンゴウインコに限らず、犬や猫でも、動物ごとの特徴、習性があります。動物を飼うということは、長く一緒に暮らす家族を作るということです。今、コロナ禍で、空前のペットブームになっていると聞きますが、しっかり動物を理解した上で、家族として迎え入れていただきたいと思います。