こんにちは、天使ちゃん

旧飼育ブログ

2021年5月5日、ゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生しました。

 

 

 

 

もなかにとっては2回目の出産ですが、2年前の最初の出産は、残念ながら死産でした。

アザラシは初産での死産は多く、最初だからしょうがないよ、とたくさんの人に慰めてもらいましたが、

私はもなかが頑張って育ててきた命を繋いであげられなかったことをずっとずっと悔やみました。

絶対にもっと何かしてあげられたはずだと、自分を責め続けました。

 

 

 

そして今回。

定期的に行っている採血の結果で、ホルモンの値が高くなり、妊娠の可能性が出てきました。

採血の結果だけでは、妊娠の確定は出来ないので、併せて超音波エコーでの確認も行い、100%ではなかったのですが胎児のようなものを確認しました。

 

 

今回は、いかにもなかのストレスを少なくするかという所に重点を置いて、産室への閉じこめをやめて、もなかが出産する場所を選択できるようにしました。

また、色々な水族館の方から、アザラシの出産は夜間に多く、出産時にこんな事故やトラブルが多いよという話を教えて頂き、採血結果から出産間近になったタイミングで夜間監視を行いました。

 

 

予想では、監視を始めて1日2日くらいで産まれるだろうと思っていたのですが、

待てども待てども産まれず…

夜間監視を始めて5日ほど経ち、ちょうど担当の私が夜当番に入れない日に、

今夜産まれる気がするな…と思っていたら、案の定電話が鳴りました。

前回も私が休みの日に出産をしたので、この電話を受ける瞬間が緊張と不安で本当に泣きそうになります。

 

 

そして、

無事に産まれた、母子共に元気です、という連絡でした。

 

 

あぁ…よかった。。

 

 

急いで準備をして、職場へ向かいました。

 

事前に教えてもらっていた通り、産まれてから自力で胎膜を破ることが出来ず、その日の当番の後輩Nくんが膜を破ってくれて、赤ちゃんは無事に産まれてくることができました。

Nくんありがとう。君はスーパーヒーローです。これからはもっと優しくするね。

 

赤ちゃんは無事に産まれましたが、初めての動く白いちっちゃい生き物に、もなかも戸惑っている様子で、

気にはしているものの、どうしていいか分からないのか、少しすると赤ちゃんから離れてしまいました。

 

初めての出産だし、育児放棄する可能性も考えていましたが、

しかししばらくすると、まだ力も弱いし、胎盤も付いたままの状態なのに、子どもの方から一生懸命もなかに近づきはじめました。

するともなかも仔に近づいて、鼻合わせ(アザラシ同士の挨拶)を始めました。

そしてもなかが仔に自分のお腹を見せるようになり、授乳を確認することが出来ました。

もなかの母性が芽生えた瞬間でした。

 

 

ほっとしたのも束の間、

授乳はちゃんと行なっているのに、赤ちゃんの体重が全然増えず、むしろ減ってしまっているのです。

アザラシのお乳は他の動物に比べて脂肪分が高いため、(わずか1ヶ月ほどで離乳するのですが、)10kg前後で産まれた赤ちゃんは離乳する頃には30kgほどにもなっています。

そのためしっかり母乳が飲めていれば、1日に1kg、2kgとどんどん体重も増えていきます。

初めての授乳、子育てで、最初はもなかのお乳の出も悪く、赤ちゃんもまだ吸うのが下手で、お互いにタイミングが合わない感じでした。

 

このままでは、せっかくもなかが繋いだ命が失われてしまう…

もなかの子育てをお手伝いする形で、授乳介助をすることに決めました。

もなかの母乳に加えて、1日に数回、私たちスタッフの手で、人工ミルクを入れていきました。

 

 

 

 

併せてもなかの母乳が出るようにサプリメントをあげてみたり、乳のあたりをマッサージしたりしました。

そのおかげもあって、だんだんともなかも赤ちゃんも授乳が上手にできるようになり、体重も徐々に増え始めました。

結局母乳とミルクのバランスが難しく、本来よりも小さい状態で離乳を向かえてしまったので、今後の課題だなと思っています。

でも、もなかの愛情いっぱいに、とても元気に育ってくれました。

今ではよくしゃべる(鳴く)、とってもわがままなおチビちゃんです(笑)

 

 

 

今回の出産では、もなかの母性にただただ感動する毎日でした。

アザラシを担当して6年目、まだまだおチビのもなかちゃんだと思っていたのですが、誰かが教えたわけでもないのに、しっかりと子育てをしてくれて。

子どもに寄り添う時の、もなかのなんて穏やかで優しい表情。

こんなにも愛情いっぱいに育ててくれた、そして立派なお母さんになってくれたことに、とても感動しています。

 

 

 

 

 

 

 

茶々丸ともなかは私にとって本当に大切な存在で、目に入れても痛くない我が子のような存在です。

私はまだ母親になった経験はないのですが、自分の母親に、茶々丸ともなかを上手に育てたね、と言われたことが、今までで一番嬉しかったです。

そんな我が子のような茶々丸ともなかの子どもなので、孫ができたような?

今はそんな気持ちです。

 

 

離乳してから現在はお魚を食べる練習をしています。

こちらもなかなか難航しています。

先日赤ちゃんの名前が決まって、『しらたま』になりました。

これからも、しらたまがしっかり成長できるように、ばぁばは頑張ります。

まだまだアザラシたちのためにやってあげたいことがたくさんあります。

アザラシファミリー、なんて言える日がくるなんて夢のようですが、、これからもアザラシの幸せのために頑張ります。

 

 

 

この場を借りて、今回の出産で色々とこちらの考えを理解して、協力していただいた管理職、園長をはじめ、獣医の皆様、そしてグループの皆様に感謝を申し上げます。

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

ゴマフアザラシ担当