コレも動物園ならでは?

獣医師

突然ですが、↓コレ↓、何だかわかりますか??

一見、ただの注射器のように見えますが…。

 

実はコレ、吹き矢用の注射器です。

 

普通の注射器と並べてみると、けっこう違いますよね?

 

 

この注射器には、薬を入れる所(A)とガスを入れる所(B)があり、

 

栓(C)のついた針を先端に付けて使用します。

針が動物に刺さると、栓がずれて穴が開き、ガスの圧力で薬が注射されるという仕組みです。

 

この吹き矢、一般の動物診療ではまず出番のないものですが、動物園の診療では重要な

 

アイテムとなってきます。

 

動物は我々ヒトとは違い、基本的にはジッとしてはくれません。

 

そのため、検査や治療の際にはヒトがおさえる必要があるのですが、イヌ・ネコなどの伴侶

 

動物やウマ・ウシなどの家畜と違い、動物園の動物(野生動物)は簡単にはおさえることが

 

できません。

 

ライオンやクマなどの猛獣は不用意に近づけば危険ですし、シマウマなどの草食獣でも

 

素早く動き回るため、捕まえるのはとても難しいのです。

 

ではどうすればいいのか?

 

そこで吹き矢の出番となります。吹き矢に麻酔薬を入れて動物を眠らせてしまうのです。

 

眠ってしまえばどんな動物であろうと安全に検査や治療を行うことが出来ます。

ちなみにこの吹き矢、簡単そうに見えて実は結構難しいです。

 

タイミングをうまく計れなかったり、しっかり刺さらずに中途半端な麻酔になってしまう

 

こともしばしば…。

 

たかが吹き矢、されど吹き矢。

 

より良い動物の治療のために、精進していきたいと思います。