反芻の話

獣医師

皆さんはヤギやヒツジなどの草食動物が、餌を食べるのとは別に口をモグモグさせている様子を見たことがありますか?

 

これは反芻と呼ばれる行動で、これを行う動物を反芻動物といいます。

のんほいパークではヤギやヒツジのほかに、キリンやエランド、シカ、ラマなどが反芻動物に該当します。

 

 

反芻動物にとって、反芻は食物を消化・吸収するうえでとても重要な行為なのですが、この反芻に微生物が深く関わっているのはご存じでしたか?

反芻動物は基本的に胃を4つ持っており(ラクダは3つ)、1つ目の胃の中にたくさんの微生物を飼っています。この微生物たちは反芻動物が食べた草を餌として分解・吸収することで生育しているのですが、反芻動物たちはその分解過程でできた物質や微生物自体を消化・吸収することでその体を維持・成長させています。

つまり、反芻動物が生きていくうえで、胃の中の微生物は非常に重要なわけです。この微生物たちが草を利用しやすくするために行うのが反芻です。よく噛むことで草の繊維を細かく砕き、微生物たちが分解しやすくするほか、反芻動物の唾液には微生物の生育を促進する物質が含まれており、これが草と混ぜ合わさることでより一層微生物が生育できるのです。

さて、反芻と微生物の関係性について、なんとなくわかっていただけたでしょうか?

ヤギやキリンなどが反芻している様子を観察する際には、是非彼らのおなかの中にいる微生物に思いを馳せてみてください。きっと、これまでとは違った見方ができると思いますよ。