こんにちは。動植物園長の高見です。
今日は、皆さんにご心配をおかけしていることについて、状況をお伝えします。
浜松市動物園から6月19日に当園にやってきたオスのアムールトラ、アースについてのことです。
アースは、来園後2週間ほどして寝室に慣れた頃に屋外放飼場に出る練習を始めましたが、今でも放飼場に長い時間出ることができず、公開することができていません。アースに会っていただけない状態が続いており、大変申し訳ありません。
今現在は、閉園後の時間や休園日に、飼育担当者による見守りの体制を整えて慎重に屋外に出る練習を行っています。
開園時間中に練習をしてはどうか、飼育担当者が近寄らない方が良いのではないかといったご意見もいただいています。アースにとって良いと思われる方法について真剣にお考えいただき、ご意見をいただけることをありがたく思います。
アムールトラを含む特定動物(法律で定められた人に危害を及ぼす恐れのある動物)は、特別な許可を得なければ飼育できず、飼育にあたっては安全面への細心の配慮が求められます。こういった動物種では、動物を新たな施設に慣らす際には、特に動物や来園者、職員への安全対策に万全を期するために、動物がその施設で安全に過ごせるという確認が済むまでは休園日や閉園時間帯に練習を行わせていただいています。
これまでのところ、アースは飼育担当者が給餌の際に行っているハズバンダリートレーニングには良い反応を示しているため、飼育担当者を怖がったり嫌ったりしているわけではなさそうです。また、タイヤや他の動物の匂いをつけたワラといったような、見慣れない、あるいは嗅ぎなれないものが放飼場にあると興味を示してはいます。しかし、特定の屋内寝室が気に入ったようで、そこから動きたくないといった様子です。屋外に不安を感じているのかもしれません。
いずれにしましても、屋外放飼場で過ごす時間を延ばすことは、アースにとっても必要なことです。引き続き、アースの状態をしっかり確認しながら、安全を第一に考えつつ、アースがアムールトラとしての自然な暮らしができるように進めていきたいと思います。
2年前にも、アジアゾウのダーナが新たに完成した放飼場になかなか出てくれないということがありました。ダーナは、今ではその放飼場にすっかり慣れ、プールにも入ってくれるようになりました。
動物は、特に野生動物は、人が考えるようには動いてくれません。それが良いところでもあります。今回も、じっくり取り組みたいと思います。
まだ多少の時間は必要かもしれませんが、温かく見守っていただけるとありがたく思います。