ダーナ来園50周年!

飼育員

こんにちは!アジアゾウ担当です。

まもなく2023年も終わってしまいますね…。

本当にあっという間の1年だったと驚いています。

 

さて突然ですが、先日12月11日は当園のアジアゾウのダーナが豊橋にやってきた日でした。今年2023年をもって、ダーナは来園してちょうど50周年を迎えました!

 

ダーナ(52歳)

 

ダーナはのんほいパーク最高齢のオスのアジアゾウです。

体高(肩の高さ)は約3m!その大きな体でゆっくりと歩く姿はとても迫力がありますが、はじめて見るものには神経質で慎重な性格だったり、好きな食べ物を牙と鼻の間にはさんで最後までとっておいて食べるなど、大迫力の姿とはちがった意外な一面もあります。

 

ダーナは1973年12月11日に推定2歳で豊橋にやってきました。今年2023年でダーナは52歳、来園して50年となりました。ゾウは、飼育下だと60年ほど、長いと80年も生きるともいわれています。今、ダーナが52歳になっても元気な姿で過ごしていることを、とても喜ばしく思います。

 

ダーナとチャンチャル

 

写真に写るのは、幼き頃のダーナと、一緒に来園したチャンチャルというメスのゾウです。チャンチャルはダーナと同じく推定2歳でした。元気で育ってくれていたら、ダーナとともに来園50周年を迎えることができたかもしれませんが、残念ながらチャンチャルは、来園後しばらくして死亡してしまいました。

 

当時のことなので原因ははっきりとはわかりませんが、特に若いゾウは、ゾウヘルペス(若いゾウが罹患すると死亡するリスクの高い病気)をはじめ、さまざまな病気にかかりやすく、健康管理にはより一層の注意が必要となります。

 

ゾウの飼育に関する情報が少ない中、病気や環境などへの抵抗力の低い子ゾウを飼育することは本当に大変だったと思います。そんな中でもダーナを健康に育ててくださった当時の飼育員の方々には、同じ飼育員の立場として頭が上がりません。そんな過去の飼育員の方々のおかげでのんほいパークのゾウ飼育が成り立っていることを、忘れてはいけないなと感じています。

 

ちなみに、2021年にのんほいパークに来園した3頭のゾウたちもまだ若いので、ゾウヘルペス対策として、現在も抗酸化作用の高いビタミンCを与えています。今でこそゾウにかかわる情報は入手しやすくなりましたが、まだまだ分からないこともたくさんあります。

 

メスゾウのシャンティ

 

1975年には、タイからシャンティというメスゾウが来園しました。シャンティも若くして来園しましたが、大人の年齢まで元気に育ってくれました。そしてダーナが22歳、シャンティが19歳のときに2頭の繁殖の取り組みが始まります。国内でのゾウの繁殖例が少ない中、幸運なことにシャンティは2度妊娠を経験します。しかし、最初の子ゾウは流産となり、2度目の子ゾウの出産時に、シャンティは胎児とともに死亡してしまいました。このときにシャンティの出産が成功していれば、国内のアジアゾウのはじめての繁殖例でした。

 

チャメリーとダーナ

 

その後、2009年に恩師上野動物園よりアーシャーが、2019年に横浜市よりメスのチャメリーがブリーディングローン(繁殖のための動物の貸し借り)により来園し、現在もダーナとの繁殖の取り組みが続いています。アーシャーは2度出産を経験しましたが、どちらも育児放棄してしまったため、現在はチャメリーとダーナのペアリングを行なっています。繁殖の成功にはまだ至っていませんが、試行錯誤しながら繁殖の成功に向けて取り組んでいるところです。

 

また、ダーナの成長や他園からのゾウの受け入れなどの変化とともに、職員にとっても安全な飼育が行えるよう、数年前からダーナも準間接飼育をはじめました。ダーナも最初は慣れないトレーニングに苦戦したようですが、現在は日常的な四肢のケアや治療も行えるようになりました。

 

トレーニング中のダーナ

 

2021年にはインドより3頭のゾウが来園し、現在のんほいパークでは6頭のゾウをご覧いただけます。ダーナも柵ごしに若いゾウたちとコミュニケーションを取って、刺激のある生活を送っているのではないかと思います。

 

このように振り返ると、豊橋のゾウ飼育の歴史がとても長いことに気づかされます。この長い歴史を50年間歩んできたダーナは、私たちも知らないさまざまな経験を積んできたことと思います。

 

52歳で健康とはいえ、ダーナもだんだん高齢になってきました。冬に訪れるダーナのマスト期(オスゾウ特有の荒々しくなる時期)は、食欲が落ちたり、日常的なトレーニングを拒んだりすることもあり、高齢なダーナの健康に対して飼育員も慎重になりました。

 

現在はマストも落ち着き、ダーナはエサもしっかり食べ、トレーニングにもこれまで通り積極的に参加してくれるようになっています。2024年もダーナがこれからも心身ともに健康に長生きしてくれるよう、日々のケアを続けていきます。

 

また、今年の8月12日に実施したダーナ来園50周年記念ガイドには、多くの方に立ち寄っていただき、ダーナのお祝いをすることができました!

 

8/12(世界ゾウの日)に実施したダーナ来園記念ガイドのようす

 

大きなスイカをお客様の前で豪快に食べる様子を見てほしい…と思って用意したのですが、ガイドの最後までスイカを食べなかったダーナ。話の原稿が尽きて焦る職員をよそに、なんともダーナらしいマイペースなガイドになりました(笑)ガイドに参加してくださった皆様、スイカを楽しみに長らくお待ちいただいた皆様、暑い中本当にありがとうございました!

 

2024年も来園50年を迎えたダーナやほかの5頭のゾウたちのようすを、のんほいパークで楽しんでいただけたらと思います。ご来園お待ちしております!

 

アジアゾウ担当