モチにつきまして

獣医師

今週末はアイビスサマーダッシュですね!
どんなレースがみられるのか、とっても楽しみです!

さて、レースといえば当園の名物レース(のようなもの)である「ヤギのかけっこ」。
最近、この「ヤギのかけっこ」に新メンバーが加入したのをご存じでしょうか?

その新規出走ヤギとは…

モチくんです!!

あれ?なんでモチが??と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
実はモチくん最近去勢し、群入りすることになりました。

今回はそのお話を少しさせていただきます。

そもそも何故モチを去勢することになったかというと、一言でいえば動物福祉のためです。

ヤギをはじめ動物のオスとメスを同居させておくと、当然ですが子どもができます。
それはそれでいいのですが、問題は動物園の収容力。
無限に飼育スペースがあるわけではないので、増えすぎると困ってしまいます。
なので、むやみやたらに繁殖する事がないよう、オスとメスを分けたり不妊処置をしたうえで同居させたりします。

モチも当初メスと分け単独で暮らしていました。
しかしヤギは基本的に群れで生きていく動物です。
このまま単独で飼っていくよりは去勢してメスと同居させたほうがモチ的にも幸せなのではないか?
飼育員と獣医で話し合った結果、このような結論に至り、この度去勢・群入りすることになったのでした。

ここで少し去勢について説明します。
今回モチの去勢に用いたのは「捻転去勢」と呼ばれる手法です。
その方法は、陰嚢(玉袋)を切って精巣(玉)をむき出しにし、精管と血管を掴んで捻じり切るというもの。
男性ならば思わず目を背けてしまうような処置ですが、ウシやキリンなどいろいろな動物に対して用いられる一般的な手法です。

 

袋を切っているところ

玉を捻じっているところ

傷を縫っているところ

取り出した玉

 

なお、筆者も自分がやってるときは気になりませんが、人がやっているのを見るときは何とも言えない気持ちになります…。

そんなこんなでモチの去勢は無事に終わり、今度は群入り。
ずっと単独で暮らしていたためどうなることかと思いましたが、特に大きなトラブルもなくすんなり群に馴染んでくれました。

 

 

ちなみに初めての群入りの際、メス最強のコムギと30分ほどにわたって頭突きあいがあったのですが…、勝者はなんとモチ!
モチとコムギでは10kg以上の体重差があるのですが(コムギのほうが重い)、体重差をは跳ねのけ見事に群のトップに躍り出たのでした。

その後も現在に至るまで大きなトラブルは起こっておらず、モチはまるでずっと前から群にいたかのように馴染んでいます。
去勢に際しては年齢など心配な点はいくつかあったのですが、モチの様子を見ているとやってよかったなと思っている次第です。

新たな「ヤギ生」を歩みだしたモチとその仲間たちを今後もあたたかく見守っていただけますと幸いです。

 

出走前のパドック(?)にて