こんにちは!
動物研究員です。
今回は新たに公式ホームページに追加された「調査・研究」についてです。
意外かもしれませんが、調査・研究は動物園の役割の一つです(大切なので毎回言っています!)
今回もちょっと地味ですが、「へー、こんなことやってるんだー」と思ってもらえたら嬉しいです。
また、当園で卒業研究を考えている学生さんや共同研究を希望されている研究者の方々にも見ていただきたいです。
掲載されている場所は以下の通りです。
トップページの一番下→「各種制度・取組」の一番下→「その他の制度・取組」→「■調査・研究」
それでは掲載されている4項目を順に紹介します。
①研究業績
ここには昨年度の研究業績、論文3編、発表31件、刊行物5件が載っています。
ざっと見てもらうと、多種多様な動物、職員、来園者などを対象とした幅広い研究が行われていることがわかると思います。
論文について見てみると、たった3編と思われるかもしれませんが、そうでもありません。
以前私たちが行った調査(Anzai et al., 2022)によると、(公社)日本動物園水族館協会に加盟している1つの動物園が出した論文総数は1.5編(中央値)です。
集計方法が異なるため、単純な比較はできませんが、1年間に3編は決して少なくない数です。
単独飼育解消を目指したアジアゾウの同居の取組と社会関係の形成
一動物園において給餌される一般飼料および野生動物のと体の細 菌数調査
有害捕獲獣を北海道の動物園で屠体給餌する際に留意すべき感染症とその対策
https://rakuno.repo.nii.ac.jp/records/2000103
②動物福祉規程
世界動物保健機構(WOAH)によると、「動物福祉とは、動物の生活と死の状況に関連した動物の身体的および心理的状態を意味する。」と定義されています。
簡単にいうと、動物が生き、命が尽きるまでの間の状態であり、良い状態から悪い状態まであります。
動物園を含むすべての飼育者や飼育施設は、動物福祉に配慮する責任があります。
当園では、この動物福祉が適切な水準で確保されるよう、独自にあらゆる事業を対象とした明確な基準を定め、それに従った飼育や展示等を行っています。
③調査研究に関する指針
当園が行う調査研究について、対象内容、実施の是非に関する判断手順、および事業の管理について明確にすることを目的に、指針を定めています。
卒業研究や共同研究を考えている方には、じっくり読んでいただきたい指針です。
④共同研究計画書兼依頼書
当園で共同研究を行う際に必要となる計画書と依頼書の書式です。
当園での共同研究を希望される方は、こちらの書式と合わせて、研究指針や動物福祉規程をご確認いただきます。
さて、なぜこのような資料を公開したのでしょうか?
私は当園の調査研究をより深く、より広く知っていただくとともに、確固たる信念をもって、調査研究により一層力を入れていくことを宣言するためだと考えています。
いかがでしたか?
「へぇー、なんか研究とかやってるんだね」って言ってもらえたのなら励みになります!
地味だけど大切な調査研究、これからもしっかりと発展させ、その成果も積極的に公開していきたいと思います。
お付き合い頂きありがとうございました!
引用・参考文献
Wataru Anzai, Kazuyuki Ban, Shintaro Hagiwara, Tomoya Kako, Nobuyuki Kashiwagi, Keisuke Kawase, Yumi Yamanashi, Koichi Murata (2022) Quantifying the 60 years contribution of Japanese zoos and aquariums to peer-reviewed scientific research. Animals. 12 (5), 598.
新村 毅(編)(2024)[増補版]動物福祉学.p. 352.昭和堂.